親知らずは、第三大臼歯とも呼ばれ、歯列の最後方に位置しています。この歯は、普段の歯磨きでは歯ブラシがなかなか届きにくい場所にあるため、虫歯や歯周病にかかりやすいといわれています※1※2。
では、親知らずの抜歯治療について知っておくべきことは何でしょうか?
本記事では、親知らずについて、その定義や役割、抜歯治療に関する基本的な知識について解説します。また、親知らずの抜歯治療が必要な場合についても触れています。
親知らずのトラブルを防ぐためには、定期的な歯科検診が大切です。また、親知らずが生えてきた場合には、歯科医師に相談することをおすすめします。
親知らずとは

親知らずとは、第三大臼歯とも呼ばれ、歯列の最後方に位置する歯のことを指します。この歯は、普段の歯磨きでは歯ブラシがなかなか届きにくい場所にあり、虫歯や歯周病にかかりやすいといわれています※1※2。
親知らずが痛む場合、虫歯が原因の場合もありますが、歯茎の炎症や腫れなどを原因とすることが意外に多いです。
親知らずに痛みがある場合、歯科医師はその歯の状態を検査し、歯茎の炎症や腫れの原因を特定します。治療法としては、抗生物質や痛み止めの処方、親知らずの抜歯などがあります。
歯科医師による親知らずの状態の確認や、歯垢や歯石の除去など、定期的に適切なケアを行うことで、親知らずのトラブルを早めに見つけやすくなります。そのうえで、必要に応じて抜歯を検討することも、お口の健康を守るための大切な選択肢のひとつです。
親知らずを抜歯する理由
親知らずを抜歯する理由は、主に以下が挙げられます。
- 親知らずが虫歯である
- 歯茎の炎症の原因となる
- 歯列矯正の妨げになる
親知らずを抜歯する理由はさまざまですが、親知らずが虫歯である、歯茎の炎症の原因になる、歯列矯正の妨げになるなどが代表的な理由です。
今後は、親知らずのトラブルを避けるために、歯科医院にて定期検診を受けることが大切です。また、親知らずが生えてきた場合には、歯科医師に相談することをおすすめします。
親知らずは抜いた方がいいですか?

親知らずは、ケースによって抜くべきかの判断が異なります。
それぞれについて解説します。
抜いた方がよいケース
親知らずを抜いた方がよいケースは、以下が挙げられます。
- 親知らずが虫歯である場合
- 親知らず周囲の歯茎に炎症が認められる場合
- 歯並びに影響を与えている場合
親知らずが一部歯茎に埋まっている場合(半埋伏)においては、炎症や感染を引き起こす可能性があるために抜歯を検討します※2。なお、初診時に炎症が強い場合は、麻酔が効きにくいため、痛みがあっても当日は洗浄と薬の処方にとどめ、痛みや腫れが落ち着いてから後日に抜歯を行うことが多いです。
抜かなくてもよいケース
一方で、親知らずを抜かなくてもよいケースもあります。
例えば、正常な位置に生えていて、しっかりセルフケアを行うことができ、周囲組織に影響を与えていない場合は抜歯をしなくても問題ありません。また、親知らずが深い位置に完全に埋まってしまっている場合(完全埋伏)は、よほどの理由がない限り抜歯せず様子を見ることが多いです。
ただし、自己判断で抜歯を決めるのではなく、歯科医師の診断を受けることが重要です。
親知らずの抜歯に適している時期

親知らずを抜歯する時期は、症状が出てからではなく、予防的に抜歯することが推奨されています。
まず、親知らずは成長が遅く、他の歯に比べて遅れて生えてきます。そのため、普通の歯が生えそろってから、親知らずが生えてくることが多いです。
そして、親知らずは歯列に収まりきらず、周囲の歯や歯茎に圧迫をかけることがあります。そのため、痛みや腫れ、口内炎などの症状が出ることがあるわけです。
親知らずの抜歯にかかる治療期間
親知らずの治療期間は、患者さんの状態や親知らずの位置、症状によって異なります。一般的には、抜歯自体は、1度の来院で終わりますが、事前に診察や検査が必要な場合もあります。そして、抜歯後の治癒期間においては数か月程度かかる場合があります。
例えば、親知らずが歯茎に埋まっている場合は、抜歯において歯茎の切開が必要です。この場合は手術後の回復期間が長くなる傾向があります。
治療期間をできるだけ短縮するためには歯科医師と相談し、適切に処方や処置を受けることが大切です。
親知らず抜歯治療をするメリット
親知らず抜歯治療をするメリットは、以下が挙げられます。
虫歯・歯周病の予防
親知らずは、虫歯や歯周病の予防として抜歯することがあります。
親知らずは、口の奥に位置しているため、歯磨きやフロスしづらく、虫歯や歯周病になる可能性が高いからです。また、親知らずの生えている位置や角度によっては、他の歯に圧迫を与え、噛み合わせの不調を引き起こすこともあります。
こうしたトラブルを避けるため、正常な状態であっても口腔内の状態に応じて、予防的に抜歯をすすめるケースがあることは覚えておきましょう。
歯周病については、歯周病の進行度ごとの治療法や費用の解説はこちらをご覧ください。
口臭予防
親知らずの抜歯治療は口臭予防につながるだけでなく、他の歯の健康を守るためにも重要な治療法と言えます。
親知らずは、普段の歯磨きではなかなか磨き残しができてしまい、そこに歯垢がたまりやすくなってしまいますから、口臭や歯周病の原因となってしまうことがあるためです。
普段から歯磨きの際には、親知らず周辺の歯も含めてしっかりとケアをしていくことが大切です。
口臭については、口臭の治療法や流れの解説はこちらで詳しく紹介しています。
早めに親知らず抜歯治療をするメリット

早めに親知らず抜歯治療をするメリットは、以下が挙げられます。
歯周病や虫歯を防げる
早めに親知らずを抜歯すると、歯周病や虫歯を防げることもあります。これは、親知らずは歯ブラシが届きにくい場所にあり、十分にセルフケアができない可能性が他の歯と比べて高いため、抜歯を予防的に行うことで、親知らず自体のトラブルや、周囲の歯や歯茎の歯周病や虫歯になるリスクを減らすことができる可能性があります。
気になる場合には早めに親知らずの抜歯治療を受けることで、歯周病や虫歯のリスクを減らせるでしょう。
回復が早い
親知らずの抜歯治療は、若い年代で行うほど回復が早く、術後の痛みや腫れの緩和につながります。目安としては20代がもっとも適した時期で、30代でも問題なく抜歯できることが多いです。
また、加齢とともに、親知らずが、親知らずを支える周囲の骨と癒着する可能性が高まり、抜歯の難易度も上がります※3。40〜50代になると、抜歯が難しくなるケースも増えてくるため、気になる場合は早めに歯科医院へ相談しましょう。
現状に不安を感じている場合には、歯科医院での早期の相談をおすすめします。
親知らず抜歯治療方法の流れ

親知らず抜歯治療方法の流れは、以下のとおりです。
- 初診で位置と神経の距離を確認
- 十分に麻酔をして抜歯
- 歯茎を消毒して感染を予防
- 薬の処方と、場合により抜糸
初めに、カウンセリングにて親知らずの症状についてお話を伺い、親知らずの状態について確認します。次に、親知らずの位置や向き、神経との距離などを確認するためにレントゲンやCTを撮影します。これらの情報により、抜歯の難易度やリスクを判断し、抜歯が本当に必要かどうかを含めて、患者さまに合った治療方法をお話して決定していきます。
実際に抜歯を行う際は、十分に麻酔をした上で行います。ただし、初診の時点で痛みや炎症が強い場合には、当日は消炎処置のみとし後日の抜歯をご提案することもあります。
抜歯後には歯茎を消毒し、感染症の予防や治癒を促進するのが一般的です。
アフターケアとして、薬を処方しますので、決められた用量用法を守って服用してください。また、抜歯の約1週間後に消毒や抜糸のために来院をお願いする場合があります。
【治療費】親知らずの抜歯治療にかかる費用
親知らず抜歯治療にかかる費用の目安(保険診療・3割負担の場合)は、以下のとおりです。
| 歯の生え方 | 費用の目安 |
|---|---|
| まっすぐに生えている場合 | 2,000〜3,000円程度 |
| 一部埋まっている・斜めに生えている場合 | 3,000〜5,000円程度 |
| 完全に埋まっている場合 | 5,000〜8,000円程度 |
処置内容により、若干の料金幅があります。
親知らず抜歯治療のリスク

親知らずの抜歯治療を受ける際に知っておきたいリスクは、主に以下が挙げられます。
痛みや腫れが出るケースがある
親知らずの抜歯後は、痛みや腫れが出ることがあります。
痛みや腫れは、抜歯後2〜3日でピークとなり、1週間程度で軽減していきます。抜歯後に痛み止めを処方させていただきますので、用量用法を守って服用してください。
また、抜歯後1週間以上経過しても強い痛みがある場合は、ドライソケットを起こしている可能性があります。強いうがいなどにより抜歯窩の血餅(かさぶた)が脱落して、骨が露出した状態です。痛みが強い場合は我慢せず、歯科医院に連絡して受診するようにしてください。
感覚麻痺が残る可能性がある
下顎の親知らずの抜歯で感覚麻痺が残る可能性も挙げられます※2※3。これは抜歯によって顎の神経にダメージが与えられることによって生じます。
場合によって異なりますが、顎の神経にダメージがあると、顎や舌、唇などが麻痺したような感覚になるのが代表的な症状の例です。この麻痺は、一時的なものから永続的なものまでさまざまで、抜歯の方法や個人差によって異なります。
親知らずの生え方により、このリスクがある方には、術前に歯科医師から説明させていただきます。
親知らず抜歯治療には感覚麻痺が残る可能性があることを理解し、違和感がある場合にはすぐに相談し、適切な治療を受けることが大切です。
上顎洞とつながる可能性がある(上顎洞穿孔)
上顎の親知らずを抜く際に、適切に抜歯を行っていても、上顎洞に穴があき(穿孔)、口腔内と上顎洞が交通してしまう場合があります※4。これは、上顎の親知らずが上顎洞に近い位置にあるためです。
穿孔の大きさが小さい場合は、自然閉鎖する可能性が高いですが、穿孔の大きさが大きい場合は、閉鎖するための手術が必要であるため、場合によっては専門機関をご紹介させていただきます。
その他、リスクがある場合は、術前にお伝えさせていただきます。
【補足】抜歯した親知らずは移植できるケースがある
親知らずを抜歯した後、その抜歯した親知らずを、虫歯や歯周病で失った欠損部分に移植できるケースがあります。
歯にかかる刺激を伝える働きをする”歯根膜”を活かすことができるため、インプラントに比べて自然な食感を得ることができます。
ただし、移植には条件がありますので、事前に診査して移植が可能であるかを判断することが重要になります。なお、当院では親知らずの移植は自費診療で行っています。
まとめ
親知らずの治療について解説しました。
親知らずを抜いた方がよいかどうかは、生え方や炎症の有無、周囲の歯への影響によって変わります。初診時に炎症が強い場合は、洗浄と薬の処方で症状を落ち着かせてから、後日に抜歯を行うこともあります。
抜歯後は痛みや腫れが出ることがありますが、処方された薬を決められた用量用法で服用し、強い痛みが続くなど気になる症状があれば、我慢せず歯科医院へ連絡してください。費用は親知らずの生え方によって変わるため、治療前に確認しておくと安心です。
親知らずに痛みや腫れなどの症状がある場合は、早めに歯科医師に相談し、適切な処置を受けましょう。また、症状はなくても、定期的な歯科検診を受け、親知らずの状態を把握することも重要になります。
親知らずの痛みや腫れが気になる方は、早めに当院へご相談ください。Web予約、またはお電話(03-6459-6560・受付10:00〜18:30)から、お気軽にご連絡ください。
親知らずの治療に関するQ&A
親知らず抜歯当日に仕事はできる?
親知らず抜歯の場合、抜歯の難易度や体調にもよりますが、基本的に当日から仕事をすることができます。ただし、抜歯した歯の周囲がどの程度痛いかや、術後の症状には個人差がありますので、術後の症状が軽い場合は当日から仕事ができますが、症状が重い場合は休養をとることをおすすめします。どちらにせよ、大切な予定は避け、できるだけ安静に過ごすようにしてください。
親知らず抜歯は上と下の歯どっちが痛い?
親知らずの抜歯では、抜歯後に上下の歯どちらも痛みを伴う場合が多いです。基本的には、下の歯の方が痛みが強い傾向がありますが、抜歯の難易度やその日の体調によっても変わります。抜歯後に、痛み止めを処方しますので、用量用法を守って服用してください。
親知らず抜歯中は痛かった?
親知らずの抜歯は、十分に麻酔を効かせてから行います。術中に痛みを感じることはほとんどありませんが、生え方や炎症の程度により痛みを感じる場合は、麻酔を随時追加していきます。
親知らず抜歯後の食事は大丈夫?
親知らず抜歯後の食事は、術後の症状によって変わります。術後の症状が軽い場合は、普段通りに食事を楽しめますが、症状が重い場合は、柔らかい食べ物を摂ることをおすすめします。
複数の親知らずを同時に抜歯できる?
複数の親知らずを同時に抜歯することは可能ですが、抜歯の部位や抜歯の難易度によっても変わります。もしも、複数の親知らずの抜歯を検討している場合は、歯科医師に相談してください。
親知らずを一本抜くのにいくらかかる?
親知らずを一本抜くのにかかる費用は、抜歯する歯の数や抜歯方法によっても変わりますので、歯科医師に相談してください。
親知らずはどのタイミングで抜く?
親知らずを抜くタイミングは、歯肉の状態や抜歯の技術によっても変わります。歯肉の炎症が悪化している場合は、早めに抜歯を行うことをおすすめします。

